平成29年6月8日内閣委員会(田村智子議員)

○田村智子君 日本共産党の田村智子です。
 昨日の赤旗新聞が報道いたしました今治市議の出張報告を資料でお配りいたしました。
 これ、我が党議員が提出を求めて市議会事務局から提供を受けたものですが、この訪問者のところを黒く塗っていますのは、我が党の市議が訪問したわけではありませんので、一応その訪問した市議四名の方のお名前は私の事務所の方で黒塗りにいたしました。
 出張日時は平成二十八年二月九日、出張先、内閣府地方創生推進室、目的、大学獣医学部の新設について、訪問先の応対者は推進室次長藤原豊とあります。
 概要、どんなやり取りがあったか。「大学獣医学部の新設に向けた今後の進め方について質疑応答を行った。」と。抜粋して読んでいます。「総務省の決算分析の資料において今治市の財政状況を指摘され、新設大学への財政支援による今後の財政悪化や、人口減少により学生が本当に集まるのか危惧されていた。」との記述がある。これは、内閣府の藤原さんがそういう危惧を示されたという記述だと思います。
 藤原審議官、昨年二月九日、こういう会合に出席をし、この報告にあるような意見を述べましたか。
○政府参考人(藤原豊君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の面談の詳細な日時、場所については定かではないんでございますが、今治市の市議の方々が以前御訪問されまして、私、当時次長でございましたが、別途管理職審議官と二人で対応したことは覚えてございます。
 その上で、面談の日時が二月上旬ということでございますれば、今治市が国家戦略特区に指定されましたのが一月でございましたので、直後ということもございまして、まだ今治市の特区の区域会議等も立ち上がってございません。したがいまして、獣医学部新設についても何ら動きがなかったこともございまして、恐らくお問合せが、御質問があったんだと思いますが、慎重な対応をさせていただいたというふうに考えてございます。
 ただし、御指摘の、今後の財政悪化や人口減少により学生が本当に集まるか等のそういったやり取り、発言があったかどうか、これについては定かではございません。
○田村智子君 これ、一緒に写真も添付された報告書になっているんですね。お話あったとおり、三名の方が対応されていますので、当然メモを取っている方がいらっしゃるはずだというふうに思います。ですので、これもまた、どういうやり取りがあったのか、内閣府の資料としての提出を求めたいと思います。
○委員長(難波奨二君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
○田村智子君 これは当然、公費を使った出張だからこういう報告が出ているわけで、記憶にないということでしたけれども、事実認定ができる資料だというふうに思います。
 しかも、私、この対応が間違っているとも思いません。特区での規制緩和、これ失敗させるわけにはいかないわけですから、当然担当者が懸念事項を指摘することはあるでしょう。今治市は、実際に収入に占める借金の割合というのは、公債費の割合は県内二十市町の中でも最も高い水準なんですね。市有地の無償提供に加えて建設費として六十四億円を上限とした負担を行えば、これはどうなるんだという不安が市民からも出されている、当然のことだというふうに思います。
 それでは、藤原審議官、ワーキンググループや分科会、これはもう担当してずっと出席していらっしゃいますので、こういう財政負担の問題や果たして学生が集まるのかといった懸念の問題について検討は行われていますか。
○政府参考人(藤原豊君) お答え申し上げます。
 ワーキンググループにつきましては、これは獣医学部の新設という制度論が中心でございますので、そういった面につきましては、少なくとも中核的な議論にはなっていないというふうに思っております。
○田村智子君 今治市へのヒアリングでは、これ、聞いて当然だと思うんですけれども、全然議題にならなかったということですね。
○政府参考人(藤原豊君) 今治市へのヒアリングということであれば、二十七年の六月でございますか、そのときのちょっと手持ちの資料ございませんが、基本的には制度の問題についてワーキンググループの議員が提案者に対していろいろ御質問するというような内容になっているというふうに思っております。
○田村智子君 二十八年、二〇一六年の九月二十一日に今治市の分科会開かれているんですけれども、このときにも一切こういう財政の問題などは議題にもなっていないんですね。
 これ、どうやってクリアしたのかなという疑問が残るのと、当初、藤原さん、確かに慎重意見、だから、これから特区認定されるというときに慎重意見なんですよ。ところが、ずっと議事要旨を追っていきますと、やっぱり一転するのは九月からなんですね。九月から本当に一転してどんどん会議を開き、しかも積極的に審議官も前に進める議論をやり始めるわけですよ。例えば、九月十六日に改めて省庁ヒアリングやっているんですけれども、その前に行われた九月九日の諮問会議のことをわざわざ言っているんです。この諮問会議というのは、今後重点的に進めるべき規制改革について議論したもので、別に獣医学部の新設というのはほとんど議題になっていないんですが、八田さんでしたかね、が一言だけ、一言だけですよ、本当に、資料で配られたのも、何というか、例えばで獣医学部新設というのが書かれているのに、わざわざ九月九日の諮問会議の中で指摘し、わざわざ藤原審議官は九月十六日の省庁ヒアリングの中でそのことを挙げて、いよいよ議論を本格的に進めていかなければならないというふうになっていくわけですね。非常に積極的なんです。
 で、先ほどもお話のあった九月二十六日、藤原審議官が、総理の御意向とか官邸の最高レベルということで文科省に対してお話をされたということが文科省のメールにあって、そのことを現職の職員さんも認めたということですから、藤原審議官、こういうお話合いをしたということでよろしいですか。
○政府参考人(藤原豊君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のそういった文書につきましては内閣府としては承知しておりません。その上で申し上げますと、昨年秋ということでございますと、九月二十一日に今治市分科会が開催されたということもございまして、今後の進め方などにつきまして文科省の担当の管理職と数回面談を行ったという認識がございます。ただ、面談の具体的な日時や内容につきましては記録もなく、定かではございません。
 なお、委員御指摘のそういった文書の有無等にかかわらず、獣医学部新設という個別項目につきまして、官邸の最高レベルが言っている、総理の御意向だと聞いているなどと伝えた、お伝えしたという認識はございませんし、また総理からもそういった指示等は一切ございません。
 総理は常々、特区諮問会議で、個別の項目や個別のプロジェクトではなく、規制改革全般についてスピード感を持って実現すべきという旨を発言されております。これを受けて、御指摘のワーキンググループ等で、これは獣医学部の新設だけではなくていろんな各論、個別の項目がございますけれども、私ども事務方がそういった関係省庁との議論を行う際にもこういった発言に言及させていただくことはあったというふうに認識しております。
○田村智子君 なぜ急に動き出したのかと。ここで、これまでずっと求めている様々な省内でのやり取りのメモなどですね、是非改めてまた資料の提出を求めておきたいと思います。
 もう一点、私、疑問があるんです。十一月九日、諮問会議で、いよいよ広域的に獣医師養成系大学等の存在しない地域に限りという条件で京都産業大学を対象から外して、これで獣医学部新設の決定が下されます。私、このとき、前回、山本大臣に、これはもう今治市ありきということになるんじゃないかという趣旨の質問をいたしましたら、大臣は、四国地方ということ、あるいはそのほかの地区に獣医師系の大学がないということを念頭に置いているというふうに答弁をされました。
 改めてちょっと確認しますが、私はこれはもう今治市ありきだなというふうに受け止めているんですが、大臣の認識としては別にそうではないと、ほかもあり得るんだということでよろしいんですか。
国務大臣山本幸三君) まさに広域的に獣医学部がない地域に限るということであります。
○田村智子君 そうすると、一月四日、内閣府地方創生推進事務局は、いわゆる獣医学部新設事業者の公募を行うんですけれども、タイトルは、広島県今治市国家戦略特別会議の構成員の公募についてと。これ、広島県今治市でなければ公募ができない。これはどういうことですか。
国務大臣山本幸三君) その十一月九日の諮問会議等を受け、パブリックコメント等をやってまいりました。そして、いよいよ一月四日、告示を改正して事業者公募になるわけでありますが、そこで、十一月九日の特区諮問会議の取りまとめを踏まえつつ、京都市よりも今治市の方が事業の早期実現性という観点から熟度が高いと最終的に私が判断してそのように決めました。この判断は、事業者公募を行う区域会議の事務局を担う内閣府、すなわち私が最終的に判断する立場にあるため行ったものであります。
 そのほかの比較する理由がいろいろありますけれども、最終的にはそういうことで、まず今治市からということで決めたということであります。
○田村智子君 安倍総理はこの前の決算委員会のときに、私たちが決めたのは加計学園を決めたんじゃないんだと、獣医学部の新設ができるということを、五十二年ぶりの岩盤規制にドリルを開けて決めたんだと言っているんですよ。ところが、公募は広島県今治市じゃないですか。これ、十一月九日の決定は確かに、まあちょっと地域限定が付いたということは私はどうかなと思いますけれども、しかし、確かに安倍総理の言うとおり、獣医学部の新設を認めるよという決定ですよ。じゃ、例えば、二〇一四年、新潟市、元々提案していたんです。北陸信越なんてもっと広大な空白ですよ。全くないですから、獣医学部、養成系大学は。
 十一月九日の決定に従って、例えば新潟市が改めて区域計画を策定をして、それで応募するということだってあり得たんですよ、十一月九日の決定だけだったら。ところが、一月四日に公募は広島・今治市だけ、特区に限った。そして、安倍総理と松野文科大臣の連名の告示は平成三十年度に開設すると。これまた十一月九日には一切、一切決めていないことを、諮問会議の中でも議論されていないことをいきなり入れ込んだんですよ。この十一月九日から一月四日までの間は何の会議も開かれていません。
 いつどういう検討の下でこういう決定がなされたんですか。
国務大臣山本幸三君) 三十年四月からというのはパブリックコメントでも既に出しております。
 それから、一月四日の事業者公募になるわけでありますが、いよいよ具体的に進めなければなりません。そのときに、当然、もし新潟市からそういう要請が具体的にあれば当然検討の対象になったと思いますが、もう新潟市の構想は立ち消えになっておりました。その意味で、最終的に、まず広域的に獣医学部のない地域ということを踏まえ、そして、具体的にそうした事業の応募がある広島県今治市ということでまず公募をやるということを私が決めたわけであります。
○田村智子君 それじゃ、もう安倍総理の答弁、違いますよ。安倍総理は、獣医学部の新設を五十二年ぶりに決めたと、すばらしい規制改革をやったんだ。違いますよ。こんなの最初から今治市ありきの決定を十一月九日に安倍総理議長の下で下したと、そういうことになるじゃありませんか。それ以外ないですよ。
国務大臣山本幸三君) 全く違います。十一月九日はまさに獣医学部の新設を認めて、それを制度化する、それを急ぐということを決めているわけであります。
 それを受けて実際には進めていかなきゃならないわけでありまして、告示の改正をやると同時に、公募をどこかでやるということを決めなきゃいけません。それは、従来のそうした議論を踏まえ、そして事業の早期実現性という観点から熟度が高いということで、最終的に私が判断して広島県今治市ということで決めて公募したわけであります。
○田村智子君 納得いきません。だって、大臣は十一月九日は今治市ありきじゃないと言っているわけですから。それじゃ、一月四日、なぜ広島・今治の特区だけの公募にしたのかと。その検討過程が分かるものを示してくださいよ。示さなかったら分からないですよ。示してくださいよ。
国務大臣山本幸三君) そのことについて詳しく申し上げますと、獣医学部の設置は平成十九年秋から昨年春までの八年間近く今治市の提案が唯一の提案でございました。このため、政府としては、まずはこの事業を早急に実現し、成功モデルにできないかという観点から長年検討を行ってきたわけであります。
 こうした中で、京都府京都産業大学から昨年三月提案がありましたが、要旨のみの簡素なものでありました。その後、昨年十月に詳細な提案をいただいたことを受け、十月十七日、特区ワーキンググループでヒアリングを行いました。しかしながら、京都府等の提案は必ずしも準備が整い事業が具体化しているとは言えなかったわけであります。これに比べて、今治市の提案は事業の早期実現性という観点から熟度が高いと判断し、これを優先することといたしました。
 具体的には、今治市は専任教員の確保の面で京都府等と比べて優れておりました。水際対策について、今治市は、四国知事会等が要望するなど、広域的な対策を強化する具体的なアクションを起こしている。他方で、京都府等は獣医学部のある大阪府との連携が必ずしも確保されていないなど、不十分と評価せざるを得ませんでした。
 また、獣医学部の設置は地域の活性化に大きく貢献する必要があるということで、京都府等の提案にその具体性がない反面、今治市は、まち・ひと・しごと総合戦略等に位置付けた上で、卒業生を地元の産業動物分野に就職させるための奨学金の仕組みなどの工夫を凝らしているわけであります。京都府等はライフサイエンス研究を提案しておりますが、水際対策に関する部分が薄い。また、今治市は、現場体験学習などを通じて卒業後に産業動物を扱う分野に進むよう誘導するとともに、畜産業のみならず、地元の水産資源を対象とした感染症対策など、地元固有の資源に着目した、より具体的な内容になっていると評価ができます。
 このように、今治市の提案は、事業の早期実現が見込めると判断したものであります。ただし、国家戦略特区は規制改革の突破口でありまして、今後、京都府等の提案についても……
○委員長(難波奨二君) 大臣、答弁は簡潔にお願いいたします。
国務大臣山本幸三君) 十分検討に値するものと考えております。
○田村智子君 十一月九日以降のことを聞いているのに、それ以前のことをだらだらだらだら説明してどうするんですか。人の質問妨害するんじゃありませんよ。こんな答弁しかできないんですよ。こんなの今治市ありきだったと言わざるを得ないじゃありませんか。本当に認められません。
 これも改めて十一月九日から一月四日までの間の協議されたものの資料の提出を求めたいと思います。
○委員長(難波奨二君) ただいまの件につきましては、後刻理事会で協議いたします。
○田村智子君 これはもうほとんど法案に対する質問ができないんですけれども、ちょっとやっておきたいので、一問、二問だけ聞いておきます。
 農業支援外国人受入れ事業についてお聞きいたします。
 特定機関が派遣労働者として外国人を受け入れ、農業経営体等に派遣をするというスキームです。しかし、法案の条文では派遣労働としての限定がありません。これは、指針に特定機関が満たすべき基準を定める、あるいは政令、ここに派遣労働のみというふうに限定をするのかどうか、端的に。
○政府参考人(山北幸泰君) お答えいたします。
 本法律案におきまして、農業支援外国人材を雇用することとなる特定機関につきましては、内閣総理大臣が作成する指針に照らして必要な措置を講じていることなど、政令で定める基準に適合するものとされておりますので、政令又は指針において、特定機関は労働者派遣法に基づく労働者派遣契約により経営体に外国人材を派遣するものとする方向で検討しているところでございます。
○田村智子君 そうすると、派遣労働というのは今でも国内でたくさんの違法行為が見られます。で、適正受入れ管理協議会が特定機関、いわゆる派遣元について適合性の認定するだけでなく年一回の監査を行うというふうな説明を受けています。これは、関係法令がいっぱいあるわけですよ。派遣労働法違反、入国管理の法令違反、こういうことがいろいろ絡んでくると。しかも、所管しているのは農水省であり内閣府であると。
 この年一回の監査というのは、四府省の担当者がそろって派遣元行かなければ、これ適切な監査にならないと思いますが、どうなりますか。
○政府参考人(佐々木基君) 今お話ありましたように、協議会が特定機関に対しまして監査する予定でございます。監査した結果、当然、その指針違反でございますとか個別法令違反が確認されれば是正を求めると、あるいは処分するということになるわけでございます。
 このように、監査というものにつきましては、最終的には、特定機関の場合によっては最終的に確認を取り消すとか、あるいは個別法令に基づく権限の行使、こういうことにつながるものでございますので、その前段階で全般的に行うものでございますので、その段階で必ずしも個別法令に基づく権限を有する職員が全員そろって全てに同行するということまでは必要ないんじゃないかと考えております。
○田村智子君 それ、駄目ですよ。専門的な視点で監査しなかったら違法行為を見逃す危険性がありますからね。そんな甘いことやっていたら駄目ですよ。
 もう一つ聞きたいんです。派遣労働の場合には、派遣元の違反行為よりも派遣先の違反行為の方が、これ、たくさん起こり得るわけですね。例えば農業の場合、今日は天気が悪くて仕事がないよと、隣に行って仕事してくれ、これ二重派遣になります。こういう問題をどうやって監査していくのか。これ、現地調査としか書かれていないんですけれども、これは監査とは異なる位置付けになるんですか。
○政府参考人(山北幸泰君) 本制度におきましては、適正受入れ管理協議会におきまして、関係法令ですとか指針の遵守状況に対して派遣先の農業経営体に対する現地調査も実施する方向で検討しているところでございます。
 これは、事前に特定機関から定期ですとか随時の報告を受けることになっておりますし、また外国人材からの苦情、相談の状況なども受けることになっております。そういった情報を基に、当省を含みまして協議会の構成員で必要に応じて現地調査も対応してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○田村智子君 これもまた甘いんですよね。これ、非常に不安ですよ。派遣労働というのは、国内だって、派遣で働いている労働者、自分がどこに雇用されているのか分からないで働いているケースがいっぱいあるわけですよ。誰が自分に対して違反行為しているのかが分からないような、こういう実態が蔓延しているわけですよね。
 これ、派遣労働にしたという問題点は、次の審議でもまた引き続き指摘をしていきたいと思います。