平成29年6月6日内閣委員会(櫻井充議員)

○櫻井充君 民進党新緑風会の櫻井でございます。
 今、勇気ある官僚、心ある官僚と申し上げておきたいと思いますが、まあ内部告発だと我々はそう思っています。この内部告発、なかなか表立ってできないのは、その後どういう仕打ちを受けるか分からないという恐怖があるからであって、ですが、我が国には公益通報者の保護制度がございます。こういったその官僚の皆さんが内部告発された場合、これは公益通報者の保護制度に当たるんでしょうか。
大臣政務官長坂康正君) お答え申し上げます。
 一般論として、ある通報が公益通報として保護されるかどうかについては、不利益な取扱いを受けた通報者からの訴えを受けて最終的には裁判所が判断することとなるわけでございまして、一概に申し上げることは困難でございます。
 なお、同法によります保護の対象となるためには、その通報の内容として、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる特定の法律に規定する刑罰規定違反に関する事実が含まれていることが求められているところでございまして、当該告発の内容が具体的にどのような刑罰規定違反に該当するかを明らかにすることが必要になると思われます。
○櫻井充君 それでは、加計学園の認可をめぐってのこういうメールのやり取りなど、こういったものについてはいかがですか。──通告していますよ。
大臣政務官長坂康正君) 恐れ入ります。失礼しました。
 お答え申し上げます。
 公益通報者保護法が定める要件を満たさない場合においても、他の法令や判例規範など、一般法理による保護の対象となる可能性がございますが、こちらについても、保護されるかどうかについては、不利益な取扱いを受けた通報者からの訴えを受けて最終的には裁判所が判断するものと考えます。
○櫻井充君 そうすると、不利益なことを受けない限りは、なかなかそれは通報できないということになるわけですね。
大臣政務官長坂康正君) そのように思います。
○櫻井充君 それでは、前川氏の場合は一体どうなんでしょうか。前川氏の場合も、公益通報者の保護制度に当たるんでしょうか。
大臣政務官長坂康正君) お答え申し上げます。
 公益通報者保護法は、公益通報者の保護や事業者による法令遵守の確保等を目的として、公益通報をしたことを理由とする公益通報者の解雇の無効や不利益な取扱いの禁止を定めたものでございます。同法は、労働者が労務提供先について法の定める通報対象事実が生じ又は生じようとする旨を所定の要件を満たして通報した場合に、これを公益通報者として保護する旨を規定しております。
 したがいまして、前川氏が本内部告発を行ったのが文部科学省の退職後であるとすれば、労働者の要件を満たさないことになりますので、同法による保護の対象にならないものと思われます。
○櫻井充君 ここは非常に大事なところでして、今回の場合は、国家権力を使ってスキャンダルを探してきて、これをマスコミにリークするというやり方をしてきているわけです。ですから、ここは問題は何なのかというと、個人の攻撃をそういうふうにされてきているわけであって、不利益に当たると私は思っているんです。
 ただ、今お話があったとおり、実は官僚の場合には、公務員の場合にはこの公益通報者の保護制度の対象になるんですが、労働者だけであって、一般の方々がこの対象になるわけではありません。
 この点について、私はこういう問題があるとすれば改正すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
大臣政務官長坂康正君) お答え申し上げます。
 消費者庁では、公益通報者保護制度の実効性を向上させるため、公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会を開催し、昨年十二月に最終報告を取りまとめていただいたところでございます。本最終報告書においては法改正の方向性についても御提言をいただいているところでございまして、今後、本提言を踏まえて、法改正の内容をより具体化するための検討を行っていくことと考えております。
○櫻井充君 是非きちんと検討していただきたいと、そのことを要望申し上げておきたいと思います。
 今回のそのメールの問題が、本当に本物なのかどうかという議論がずっとなされてきていて、私はいわゆる偽メール事件のときにあるテレビ番組に出たことがあるんです。そのときは相手が世耕さんでして、今の経済産業大臣ですが、その際に、微に入り細に入り、いかにこれが堀江さんから送られたメールじゃないのかということをずっと言われ続けて、まあ正直申し上げて、心の中でこれは負けているよなと思いながら、誰もテレビの番組に出ないので、仕方なく私はテレビの番組に出ておりました。
 しかし、今回不思議なのは、ここまであのときにはちゃんとこれが違うんだということを立証してきたにもかかわらず、今回全くそういうことをされていないんですね。なぜそういうことをしてこないんでしょうか。
 その点からいうと、もう一度改めて私はこのメールについて精査すべきだと思いますが、いかがでしょう。
副大臣義家弘介君) 基本的には、メールを含む文書の出どころや入手経緯が明らかになっていない文書については、その存否や内容などの確認の調査を行う必要はないと考えております。
○櫻井充君 済みませんが、あの偽メール事件のときには、どこから出たものか分からないけれど、ちゃんと全部調べましたよ。そして、それで我々も、あの当時、前原さんが代表だったと思いますが、辞任に追い込まれるようなことになっていくわけですよ。
 ですから、どこから出てきているものなのかが分からないからそれについて調査しないということには当たらないと思いますが、いかがですか。
副大臣義家弘介君) 民進党からいただいたメール等々についてでいえば、そこに明らかな違法行為があるとか、法定調査が命じられているかというような問題のものでは、渡されたものを見る限り、ではないというふうに考えております。
 一つ一つの情報提供に対して、省内外のメール一つ一つチェックするなんということになっていけば、これは行政の停滞も招きますので、省内外のメールに対して明らかな違法行為が指摘されている、法定調査でない場合は、従来より調査を行っていないというところでございます。
○櫻井充君 今問題になっているのは、四条件を満たしているか満たしていないかなんですよ。閣議決定違反かどうかという議論をしている最中ですから、これが閣議決定違反でないということを実証する僕は責任があると思いますけど、それはいかがですか。
副大臣義家弘介君) 四条件を満たしているかどうかについてでいえば、国家戦略特区を活用した獣医学部の新設については、日本再興戦略改訂二〇一五を踏まえて内閣府の国家戦略特区会議において議論が行われ、平成二十八年十一月には諮問会議において、先端ライフサイエンス研究や感染症に係る水際対策など、獣医師が新たに取り組むべき具体的な事情に対応するため、特例として獣医学部の新設を可能とする旨の追加規制改革が取りまとめられました。
 文部科学省としましては、一貫して、需給の観点から特区を所管する内閣府に関係省庁との調整をお願いしたところでありまして、その上で決定し、今設置審で議論されているところでございまして、まず前提としてこの四条件は満たされているという前提の中で今設置審にかかっているということでございます。
○櫻井充君 これは立場の違いでそうおっしゃるしかないんだと思いますが、ここのところが本当に大事なところなんですよ、閣議決定事項を守ってきているか守ってきていないかと。この間の私は山本大臣の御答弁聞いていて、とても四条件満たしているとは思っていないんですよ。
 最後は何とおっしゃったかというと、僕は本当茫然としましたが、要するに需給というのは分からないんだと。しかも、最後こういうこともおっしゃったんですが、規制緩和はなぜ必要なのかと、規制緩和というのは新規参入を増やすわけですから供給量を増やすわけですねと、そのことによって価格が下がってきて、それで消費者は喜ぶと、しかし、既得権益を持っている生産者の方は困るって、単純にこうおっしゃっていますけどね。
 大臣、安倍政権で今掲げている経済対策で何を脱却しなきゃいけないとおっしゃっていますか。
国務大臣山本幸三君) 岩盤規制を、デフレから脱却ですね、それを、そのことですか。
○櫻井充君 まさしくそうなんです。デフレから脱却するんです。そうすると、今、大臣がこの前回の委員会で何とおっしゃったのかというと、規制は緩和すると価格が下がって消費者が喜ぶと、そうおっしゃっているんですよ。ということは、やっていることは安倍政権がやろうとしていることと逆じゃないですか。
国務大臣山本幸三君) それはミクロ経済とマクロ経済、混同している議論だと思います。我々が言っているのはマクロ経済としてのデフレという現象をなくそうということでありまして、一方で、個別の分野のミクロ経済について言う場合には、それは値段が下がった方がいいというのは消費者は当然思っているわけでありまして、そういうところの話とマクロ経済全体の話と混同していては経済学の議論にならないと思います。
○櫻井充君 済みませんが、単純に価格だけ下がってくれればそれでいいんですよ。価格下げるために企業はどういう努力しているか御存じですか。海外に生産拠点を移して安い労働者に生産してもらうとか、それから正社員から非正規雇用に変えていってそれで安い商品を作ってくるという、そういう努力をしているんですよ。つまり、消費者が喜ぶといいますが、労働者は一歩会社から外に出れば消費者になるわけであって、この人たちの賃金が下がることも何も前提なくこういうお話をされること自体、僕はナンセンスだと思います。
 一方で、もう一つ申し上げておきたいことがありますが、世界の医療制度の中でどの国の医療制度がナンバーワンだと評価されているか、大臣は御存じですか。
国務大臣山本幸三君) その点について私は詳しく知る立場にありませんけれども、医学部とか大学、獣医学部のランキングとか見れば、私はアメリカがトップではないかと思っております。
○櫻井充君 済みませんが、規制緩和規制緩和とおっしゃるのであれば、まずちゃんと我が国の制度としてどれがすばらしいのかを知っておいていただきたいと思いますが、WHOで総合評価で日本の医療制度はナンバーワンです。日本の医療制度は、済みませんが、最後の社会主義とも言われています。これは、国が価格調整を行い、それから医師の需給調整を行い、病院の病床規制も行って、ですが、こういうことをきちんと行っているからこそ、それはいろんな問題は起こっていますよ、現場で、起こってはいるけれど、制度として見れば世界でナンバーワンだと評されているんです。
 そうしてくると、何でも規制緩和して、何でも民間需要に任せて、あとは、この間神の手とおっしゃっていましたが、そういうところに任せればいいんだというものとは私は全く違うと思っています。そういうことを御存じの上で、とにかくこの間のお話は規制緩和さえすればいいような暴論ですよ、あれは。
 そして、ここから肝腎なところですが、学校に対しても規制緩和をした方がいいんだ、一校に限らずいっぱいつくった方がいいんだと、そうおっしゃっていますが、これについてまず文部科学省にお伺いしておきたいと思いますが、このような考えについてどう思われますか。
副大臣義家弘介君) まず、市場原理とは財やサービスを自由に行うことにより資源の最適配分が実現するという考え方あると承知しておりまして、自由な競争や取引を妨げる時代に沿わなくなった諸規制の撤廃や緩和等を推進し、社会全体として効率的な資源配分を目指すことは重要であると考えております。
 一方、国民の安全や財産を守ることや、一定の水準以上のサービスの提供などのために必要な規制も存在をしていると考えております。とりわけ、大学教育に関しても、その質を維持するため、国として一定の基準を設ける等の関与は必要不可欠であると認識しております。
○櫻井充君 ありがとうございます。そのとおりなんです。
 そうすると、前回の山本大臣の発言について、文部科学省としてはいかがお考えでしょうか。
副大臣義家弘介君) 先ほど答弁した内容の前提で我が省としてしっかりと守ってまいりたいというふうに思っております。
○櫻井充君 内閣で違うんですよ、考え方が、こういうふうに。何でも規制緩和すればいいとおっしゃる大臣、そして、それではなくて、ある程度の需給調整が必要だという文部科学省。私は文部科学省の考え方の方がはるかに正しいと思います。
 大臣、規制緩和して学校が増えたら何のメリットがあるんですか。
国務大臣山本幸三君) それは、学校の中のいろんな種類にもよると思います。
 医学部については、おっしゃるように、これは日本として冠たる医療制度を持っていることは、それは私も認めます。しかも、医療については、まさに保険というようなことで、まさに価格自体も政府がある意味でコントロールをしているし、せざるを得ないというところであります。
 ただ一方で、獣医学部というのは自由診療ですから、これは価格は自由に決まっているわけでありまして、そういう場合に、しかも一定の資格、質をもつという意味では国家試験はちゃんとあるわけであります。そういう状況の中で質は保たれて、そして、しかも自由診療であるということから考えれば、私は市場原理にのっとるところも十分あると考えております。
○櫻井充君 そうすると、もう一度改めてお伺いしておきますが、大学に対して市場原理を持ち込むことのメリットを簡潔にもう一度御答弁いただけますか。
国務大臣山本幸三君) 大学というのは、社会のために必要な人材を供給するということだと思います。そういう意味で、その社会の中の、供給された場合に市場原理にのっとるような分野で活躍するような人材については大いに供給を増やしていくということの方が経済全体としては良くなるし、しかし、一方で当然質のことも考えなければいけないし、他方で分野によってはそれになじまない分野もあると。それはそれぞれの教科なり学科なり大学の性質によって変わってくるものだと思っております。
○櫻井充君 答えになっていません。
 それから、じゃ、大学が潰れた際に、学生さんたちに対する影響はどうお考えでしょう。
国務大臣山本幸三君) これは、その学生がそういうことで困らないように措置するというのは当然考えなければいけないと思っております。
○櫻井充君 学生が困らないようにするために需給調整しているんですよ。今、医学部はそうやって認めてくださいましたが、文部省の告示で、医学部だけじゃないですよね、歯学部と獣医学部も全く同じような扱いになってきたはずです。そんなの全然議論に、議論というか、理屈として僕は合っていないと思いますけどね。
 これ、また次回にこれからやらせていただきたいと思いますが、私はこういう大臣の下でこういう暴論を、暴論だと思います、議論を進めていくのは非常に危険だと。それから、昨日の我が党の古賀議員の質問に対して十分にお答えいただいていないと。そういう点からすると、果たして大臣に適格なのかどうかと、その点もこれから問われていくんではないのかと、そう思います。
 それで、これは通告しておりませんので、昨日の僕は総理の答弁を聞いてあれっと思ったことがありました。それは何かというと、今治市の分科会が平成二十九年一月の十二日に行われていて、公募は一月の四日から一月の十一日でして、次の日にもう既にその今治市の分科会が行われて、ここで事実上加計学園が決まっていくというプロセスなんですが、その際に、昨日は総理が、獣医師の方もいらっしゃったので客観的に見たんだと、まあそういう話でした。確かに、質問の内容を見てみると、意見とかはかなりいろんな点で心配されていて、本当に実現できるのかどうかというのは、ますますこれ見るとおかしいと思うんですが。
 一方で、済みません、これは通告していないので、午後、杉尾委員がこの後質問に立ちますので、調べておいていただきたいことがあります。それは、加計学園の教授陣、七十二人でしたか、その中に、この今治市分科会第二回に出席された民間有識者の中のお二人の獣医師の方は、繰り返しになりますが、加計学園グループの教授として入っていたのかどうか。
 今もしお答えいただけるのならお答えいただきたいと思います。できないのであれば午後に回したいと思いますが、いかがですか。
国務大臣山本幸三君) その点については全く存じません。
○櫻井充君 いや、これは設置審にかかっている案件なので文部科学省だと思いますが、文部科学省、いかがですか。
副大臣義家弘介君) 調べて午後にお答えできるようにさせていただきたいと思います。
○櫻井充君 ありがとうございます。午後に、このことについてきちんと調べていただきたいと、そういうふうに思います。
 情報公開法で、市民の方が今治市の国家戦略特区特別委員会の協議資料というのを入手してくださいました。そこの中で見てくると、もう既に相当早い段階から来年の四月開校に向けてのスケジュールがすうっと全部書かれてきています。このことを見てきても、実際にもう当初から加計学園ありきで進んできたんではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
国務大臣山本幸三君) 加計学園ありきということで進んでいることは一切ありません。
 私申し上げましたように、私が大臣になって、国家戦略特区を始め規制改革、これはもう全力を挙げてやるんだという指示を出して始めました。そのときは私は、総理と加計学園、関係は知りませんでした。
 その後、総理との友人関係というのを知ったのは、九月七日に加計学園の理事長さんが挨拶に来られたときに、その前日辺り、秘書官からそういう話を聞きました。そこで、私は、理事長さんから、今治市と一緒に獣医学部の新設について要請したのでよろしくという話があったので、この点については、それはルールにのっとって公正中立にやるんだと、そのことの意味は、最後は公募で決まるんですよということまで申し上げました。
 そういう意味で、全く加計学園ありきで考えていたということはございません。
○櫻井充君 まあ、でも、石破大臣のときは進まなかったんですよ。石破大臣のときはちゃんと四条件付けたんですよ。実は、この四条件付けたって、前に向いているように思えますが、実際相当高いハードルで、このハードルを越えるのは非常に大変だったんです。事実だけ申し上げれば、山本大臣が大臣に就任されてからとんとん拍子に進んでいったんですね。
 この点については午後から杉尾議員の方から質問させていただけると思いますが、いずれにしろ、やはり行政がゆがめられているという点で私は大きな問題があると、そう思っていて、これは国家戦略特区の構造上の問題も関係していると思いますので、改めてこれは議論させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。