平成29年7月25日参議院予算委員会(青山繁晴議員)

○委員長(山本一太君) 予算の執行状況に関する調査を議題とし、安倍内閣の基本姿勢に関する集中審議を行います。
 これより質疑を行います。青山繁晴君。
青山繁晴君 皆様、おはようございます。自由民主党・こころの青山繁晴です。党利党略のためでなく、ただ国益のためにこそ、不肖ながら質問いたします。
 参考人の方々におかれましては、参議院に足をお運びいただき、感謝いたします。
 最初に、九州北部豪雨災害の犠牲者に魂からのお悔やみを申し上げます。さらに、現在進行形の北部九州、秋田を始めとする東北、さらに大雨被害拡大のおそれが高まる新潟、北陸の皆様にも最善の救援をお誓いいたします。こうした被災地の国民におかれましては、国会でこのような審議を行う、そのこと自体に内心でお怒りではないかと思います。一人の国会議員としておわび申し上げます。
 国土交通大臣にお尋ねいたします。
 今国民が心配しているのは、気候変動によって起きている短時間での集中豪雨にこれまでの治水の在り方では対応できていないのではないのかということではないでしょうか。被災地の現在の苦しみを繰り返さないために新しい治水をどうなさるのか、お答えください。
国務大臣石井啓一君) 本年も、九州北部豪雨、秋田県を中心とした東北地方の豪雨等により、今多くの被害が発生をしております。今後、気候変動の影響によりまして更に大雨の頻度や降水量が増大をし、水害が頻発化、激甚化することが懸念をされております。このような災害に対しましては、施設では防ぎ切れない大洪水は発生するものとの考えに立ちまして、社会全体で洪水に備える水防災意識社会の再構築の取組をハード、ソフト一体となって進めることが重要であると考えております。
 具体的には、特にハード対策中心に申し上げますが、洪水氾濫を未然に防ぐためのハード対策といたしまして、堤防整備や河道掘削等を着実に推進をする取組、ダム再生等の既存ストックを最大限に活用する取組等、地方部の河川も含めて強力に進めてまいります。
 今後とも、国土交通省の現場力を最大限に活用いたしまして、水害から国民の生命と財産を守るため、全力を挙げまして防災・減災対策に取り組んでまいりたいと考えております。
青山繁晴君 総理にお尋ねします。
 治水を含む防災もまた国家の危機管理であります。安倍政権の本来の使命、天命として取組をお答えください。
内閣総理大臣安倍晋三君) まず、今回の大雨による河川の氾濫や土砂災害によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りしたいと思います。御遺族に対して哀悼の意を表します。また、負傷された方々、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。
 政府としては、引き続き行方不明者の捜索に全力を尽くすとともに、地方自治体と力を合わせてインフラの復旧や被害者の皆様の一日も早い生活再建に向けて全力で取り組んでまいります。
 今般の大雨による災害を始めとして、これまで何十年に一度とされてきた大規模な災害が近年は全国各地で毎年のように発生しているところであります。今後も、気候変動の影響により、台風の強大化、豪雨頻度の増加等、自然災害の更なる大規模化が懸念されているところであります。このような事態を踏まえて、危機管理の問題として社会全体で自然災害に備えるべく、河川の氾濫を防ぐ対策を強力に進めていくとともに、氾濫した場合にも被害を軽減する対策や、地域住民への水害リスクや取るべき避難行動の周知等の総合的な取組を地方自治体と一体となって推進をしているところであります。
 今後とも、国民の生命と財産を守るため、ハード、ソフト一体となった総合的な防災・減災対策に徹底して取り組み、国土強靱化を進めていく所存でございます。
青山繁晴君 さて、愛媛県今治市岡山理科大学獣医学部を新設する件をめぐって昨日も衆議院予算委員会が開かれました。
 恐縮ながら、まず前川参考人にお尋ねします。
 前川参考人におかれましては、和泉総理補佐官と会われたときの印象を、加計学園ありきだったと主張される上での大きな根拠になさっています。
 その会われた日時について、昨日の小野寺議員の質問へのお答えで昨年九月九日の午前十時頃とおっしゃいました。ところが、その同じ小野寺議員に九月九日の午後三時頃と、大幅に時刻が変わりました。さらに、大串議員には再び九月九日十五時とおっしゃいました。しかし、前川参考人が六月三日に毎日新聞のインタビューを受けられた際には、九月五日午前十時二十五分に和泉補佐官と会ったとおっしゃっています。昨年の九月九日ではなくて、この場合、九月五日です。今度は日にちも違います。また、時刻はなぜか午前に戻っています。毎日新聞の紙面によれば、前川参考人は、御自分のスケジュールを管理なさっているスマートフォンを記者にお示しになりながら、昨年九月五日午前十時二十五分にアポイントが入ったとおっしゃっています。
 恐縮ながら、一体どれが本当なのでありましょうか。お答え願えますか。
参考人前川喜平君) 御質問ありがとうございます。
 獣医学部新設の件で和泉総理補佐官に最初に呼ばれましたのは、昨日衆議院予算委員会で申し上げましたとおり、九月九日の十五時頃でございます。これが正しい日時でございます。その日のうちの二十時頃にはその様子につきまして高等教育局専門教育課を呼びまして伝達したという経緯がございます。十時頃と最初に申し上げたのは、これは言い間違いでございます。
 また、メディアのインタビューで九月五日というふうに言ったこともございましたけれども、これは、手元の記録と記憶に基づきまして再確認しましたところ、この日に和泉補佐官から呼ばれましたのは産業革命遺産の情報センターの件であったということでございます。これは私の単純ミスでございます。
青山繁晴君 今、前川参考人がおっしゃったとおり、当然言い間違いというのはあり得ると思います。ただし、やはり社会の見方は、文科省の前の事務次官でいらっしゃいますから、常に正確に記録に基づいておっしゃっていると国民は思いますので、この神聖な国会審議において信憑性に疑問を持たざるを得ないような御答弁はやっぱりいかがなものかと思います。
 一方で、前川参考人は昨日の質疑では率直なお答えもなさっています。それは、加計ありきということを事務次官として総理に直接お尋ねになったのではなくて、また、和泉総理補佐官との面会でも、加計学園にしなさいと言われたのではなくて、前川参考人の持たれた印象としてそうだろうと思われたということをきちんとお話しになりました。そして、和泉補佐官と会われた日、今、前川参考人がいみじくもおっしゃったとおり、その日の夜八時頃に文科省の高等教育局の専門教育課に対して和泉補佐官からこのような話があったと伝えたとおっしゃったわけです。つまり、文科省内に総理の御意向によって加計ありきで決まってしまっているという情報を省内につくられたのは前川参考人、あるいは当時の前川事務次官、それもあくまで御自分の印象を根拠にしてのことではありませんか。
 前川さんは、和泉補佐官は、総理は自分の口からは言えないと、言えないからとおっしゃったと証言なさり、一方、和泉補佐官はこれを全否定なさいましたが、いずれにしても、和泉補佐官も加計と言ったという話は前川さんの主張においてもないわけですから、したがいまして、例えば、以下は仮にの話ですけれども、前川さんがお会いになった中に木曽功さんという加計学園の理事を務められ、あるいは同じように文科省の先輩でいらっしゃる方もいらっしゃいますから、そういう方と会われた印象でこのような加計ありきという前川さんの主張の一番大事な部分がつくられたんではないですか。そこ、いかがでしょう。つまり、具体的な証拠に基づいておっしゃっているのか、そうでないのかということです。
参考人前川喜平君) 私の理解では、初めから加計ありきでございました。
 私、和泉補佐官に呼ばれる以前に、八月の二十六日でございますけれども、内閣官房参与であり、かつ加計学園理事である、文部省の先輩でもあります木曽功氏の訪問を受けたわけでありまして、その際に今治獣医学部の新設の件をよろしくと言われたと、こういう経緯がございます。これは間違いなく加計学園獣医学部を早くつくってほしいという、こういう御要請であるというふうに受け止めたわけであります。
 また、その後ですね、担当課である高等教育局の専門教育課からその時点での経緯を説明してもらいましたけれども、その説明におきましても、懸案となっているのは今治における加計学園獣医学部の問題であると、こういう認識を文部科学省全体として持っておりましたし、これは内閣府も共有していたと思っております。
 また、九月九日に和泉氏に呼ばれまして、私が国家戦略特区の獣医学部を早くつくれるようにしてほしいと、こういう御要請を受けた際に、今、青山先生がおっしゃったようにですね、総理は自分の口からは言えないから私が言うのであると、こういうお話がございました。これは私はどう受け止めたかと申しますと、一般的に規制改革をスピード感を持って行えという趣旨であればこういうせりふは出てこないわけでありまして、総理がおっしゃっているからやりなさいと、こういう話になるわけであります。総理が自分の口からおっしゃれないということであれば、これは親友である加計孝太郎理事長の学校のことであると、それを早くしなさいと、そういう趣旨であるというふうに受け止めたわけでありまして、私は、このようなことからですね、その時点におきましてもこれは加計学園のことであるということは明確に理解したわけであります。
 また、その後ですね、文部科学省の者が内閣府から伝達された事項、これはペーパーになって残っております。これは私はもう極めて信憑性の高いものだと思っておりますけれども、九月の二十六日に内閣府の藤原審議官から伝達を受けた事項、この中に、今治獣医学部について平成三十年四月開学を前提に最短のスケジュールを作るように、これは官邸最高レベルの言っていることであると、こういう記述がございます。また、十月に入ってから、内閣府に対して文部科学省の懸念事項を伝えた際に、その回答として、これもペーパーに残っておりますけれども、開設の時期について、つまり三十年四月という開設の時期について、これも今治というのはこのペーパーの中から明らかでございますけれども、今治獣医学部の開設の時期については総理の御意向であると聞いていると、こういう藤原審議官の言葉が記されている。
 さらには、これもまた信憑性の高い文書だと思っておりますけれども、十月二十一日の日付の入っております萩生田官房副長官御発言概要というペーパーがございます。この中でも、総理は三十年四月開設とお尻を切っていたと、こういう言葉が入っておりまして、こういったいずれの資料から考えましても、私が九月九日に得た理解というのは正しかったというふうに思っております。
青山繁晴君 今丁寧にお話しいただいたんですけれども、要は今まで前川参考人がおっしゃってきたことと寸分たがわぬ、同じであります。
 それで、今の証言の中に加計という言葉は実は一言も出てこないんです。それは愛媛県今治市に、今まで空白だった四国に獣医学部を早期につくる、そして、最短で来年の春につくるということは繰り返し、その根拠になっていることを根拠とされた側は国会の質疑で否定なさっているわけですけれども、でも、それは言った言わないの話にもなるから、それをおいておいても、もう一度言います、前川参考人の話に一度も加計という話は出てこないんです。だから、加計ありきという言葉はむしろ、言い方は厳しいですけれども、むしろ前川さんの胸の中で加計ありきであって、これを一般的に言うと、残念ながら思い込みと言わざるを得ないんです。
 さて、昨日の答弁につきましては総理にも一点お尋ねしたいことがあります。総理は、特区に加計学園が申請していることは今年一月の特区諮問会議で初めて知ったとおっしゃいました。もし違っていたら、後でおっしゃってください。
 昨日の質問では、総理出席の国家戦略特区諮問会議がそれまで何度も開かれて、何度もという言葉はなかったですね、開かれているのだから知らないはずはないという御指摘がありました。そこで、議事録や事実経過を調べてみました。不肖ながら記者出身でありますから、関係者にも複数当たっていきました。
 そうすると、例えば皆様がお読みになれる議事録で申せば、一月二十日の国家戦略特区諮問会議、これは十九分間行われているんですけれども、この会議で山本大臣から、御出席の山本大臣から、獣医学部の新設についても、ちょっと中略します、本事業が認められれば昭和四十一年の北里大学以来我が国では五十二年ぶりの獣医学部の新設が実現しますと。全ての、これを含めたほかの項目もありましたから、今治もほかの項目ありましたけれども、ほかの項目について関係大臣の同意を得ております、これらにつき御意見等はございますでしょうかとお話があって、議事録によると異議なしの声があって、それはそこで終わっているわけですね。実はこの会議でも、議事録を拝読する限りは加計学園という名前は出てこないんです。
 しかし、関係者によれば、総理は事前の事務方のブリーフィングで加計に決まったことを知り、そして、関係者の一致した証言によると、総理はこれまで、今治市が特区に指定され、その前に名のりを上げて指定され、そして獣医学部の話があることは御存じであったけれども、そこに加計学園が申請していることは知らなかったというふうに関係者が、複数の関係者がおっしゃっています。
 この経緯、総理、この経緯で正しいでしょうか。日本の最高責任者としてお答え願います。
内閣総理大臣安倍晋三君) 改めて、私がいつ何をどのように知ったかということについて御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、大前提として、獣医学部新設の提案者は、構造改革特区でも、その後の国家戦略特区においても、自治体である今治市であり、加計学園ではありません。
 今治市からの提案は、平成十九年の福田政権のとき以来、構造改革特区として申請が行われてきました。第二次安倍政権になってからも四度にわたって申請がございました。その対応方針は私が本部長を務める構造改革特区本部で決定しており、今治市からの提案については私は知り得る立場にありました。しかし、数十件あるこの案件の一つにすぎないわけでありまして、結果も、安倍政権、第二次安倍政権においては四度とも提案を事実上認めない、まあ事実上認めないというわけですから却下と言ってもいいんですが、事実上認めないものでありましたので、実際には今治市の提案については全く認識をしていなかったわけであります。
 その後、国家戦略特区制度が誕生し、二年前の十一月から私が議長を務める国家戦略特区諮問会議において今治市の特区指定に向けた議論が進む中、私は今治市獣医学部新設を提案していることを知りました。しかし、その時点においても、またその後のプロセスにおいても、事業主体が誰かという点について提案者である今治市から説明はなく、加計学園の計画は承知をしておりませんでした。
 最終的には本年一月に事業者の公募を行い、加計学園から応募があった、その後の分科会でのオープンな、加計学園から応募があったわけであります。その後、分科会でのオープンな議論を経て一月二十日に諮問会議で認定することになりますが、その際、私は初めて加計学園の計画について承知をしたところであります。
 もちろん、私と加計氏は政治家になるずっと前からの友人であります。しかし、私と加計さんの間において、言わばお互いに立場が変わっていきますが、その立場を利用して何かを成し遂げようとしたことはただの一度もないわけでありまして、具体的に獣医学部をつくりたいとか、あるいは今治にという話は、これは一切なかったわけであります。まさに、そういう関係があるからこそ、そういう関係があるからこそ友人としてお互いに長い付き合いをすることができたと、私はこのように考えているところでございます。
青山繁晴君 今の総理の御答弁、僕は総理と事前に打合せしたわけじゃありませんから今初めて伺いましたけれども、御答弁の後半、実はそれ、今からお聞きしようと思っていたことでありました。
 といいますのは、この昨日の総理の御発言、御答弁について国民が普通に持つだろう疑問は、総理、今自らおっしゃったとおり、長年の友人である加計孝太郎理事長から一度も聞いたことがないというのは、なかなか普通信じられないんですよね。
 これも関係者の証言たどっていきますと、加計孝太郎理事長が総理に教育論をぶつことはあったと。しかし、具体的にどの学部を、加計学園たくさん学部チャレンジされていますけれど、どの学部をどこにつくりたいという話はしないということだと。ゴルフをなさっても食事をなさっても、政治家の利害に関わる話はしない習慣になっていた、だからこその友達だと。
 まさしく今総理がおっしゃったことと一致していますけれども、そういう友人関係だったということでしょうか。もう一度、念のためお願いします。
内閣総理大臣安倍晋三君) 彼は、教育者として時代のニーズに合わせ新たな学部や学科の新設にチャレンジしていきたいという趣旨の話をしたことはありますが、具体的にどの学部をつくりたいということは一切私に話したことはございません。
 今まで彼は様々な既に学部等をつくってきておりますが、そうした学部についても事前に一切私に説明や話はございません。ですから、獣医学部の新設について相談やあるいはまた依頼は一切なかったということは明確に申し上げておきたいと、こう思いますし、まさに友人として相手の立場を利用しようとするということであれば、もう友人とは言えないわけでありまして、その点はきっちりと踏まえていたと、このように思います。
青山繁晴君 実は今総理が確認された経緯、すなわち今年の一月二十日に至るまで総理が加計学園のこの件に関するチャレンジを御存じじゃなかったということであれば、実は、これまでの加計ありきじゃないのかということを最大の争点にしてきた国会審議、正直なところ何だったのかなというふうに思います。
 総理、あえてお聞きしますけど、なぜ最初からそういうふうに正面からおっしゃらなかったんでしょうか。勝手に推測すれば、やましいことをしていないのだから説明をする必要がないというお気持ちもあって今のような御説明を今までなさらなかったのでしょうか。お願いします。
内閣総理大臣安倍晋三君) 私も全く身に覚えのない話でありますから、その意味において、少し至らぬ点があった、言葉足らずであったことは率直に認めなければならないと思うわけでございます。
 しかし、昨日も加戸委員も証言をしていただいたように、第一次政権においても、文科省に対して今治市がこの獣医学部の新設について相談に行ったわけでありますが、これ第一次政権のときであります。全くけんもほろろであったということでありますし、今御紹介をさせていただきましたように、安倍政権、第二次安倍政権のときに四回申請されております。実は民主党政権時代に一回申請されたものを安倍政権で認めなかったというものを含めれば、五回にわたって申請されたものを第二次安倍政権においては認めていないということも申し添えておきたいと思います。
青山繁晴君 これまで昨日の衆議院の質疑をめぐってお聞きいたしました。
 さて、七月十日のこの本参議院における閉会中審査における加戸参考人とそれから前川参考人の証言によって、客観的な経緯というものがかなり明らかになったと考えます。
 加戸参考人にお尋ねしますが、加戸参考人がおっしゃった経緯というのは、物すごく短く縮めますと、鳥インフルエンザ口蹄疫狂牛病といった新しいリスクに対応するために愛媛県今治市でたくさん大学にも声を掛けたけれども、その中で唯一、加計学園だけが誘致に応じてくれた、これは県議と加計学園の事務局長の方の人間関係に元々はよるものであったと。ところが、加計学園がようやく手を挙げてくれたけれども、これは加戸参考人のお言葉をそのままいただいて申せば、文科省の岩盤規制というゆがめられた行政によって実現していなかったと、構造改革特区のノウハウをもってしても難しかったと。あるいは、民主党政権のときに総合特区という試みはありましたけど、それはおっしゃっていなかったですけれども、いずれにせよ、そういう特区で突破口を開くというやり方がうまくいっていなかったけれども、それがようやく、国家戦略特区というものが登場したことによって、言わばそれをドリルとして、ついに実現して行政が正されたというふうに証言されました。
 今まとめたこの経緯でよろしいでしょうか。どうぞお願いします。
参考人(加戸守行君) まず冒頭に、参考人としてお呼びいただきましたことを心から感謝申し上げます。
 私自身が、今御指摘がありましたように、この今治獣医学部の誘致に一番先頭を切って旗を振った首謀者でございますだけに、今回こういう形で安倍総理への疑惑あるいは批判というような形で議論が展開されていることを大変悲しく思い、このぬれぎぬを晴らすせめてもの、いささかでも役に立ちたいと思って参上いたしました。
 冒頭に申し上げますが、私は加計理事長が安倍総理との友人であったということは昨年まで全く存じませんでした。そして、今までの間に私は安倍総理を拝見しておりましたけれども、平成十三年の二月にえひめ丸事故が起きたときに、当時、安倍首相の下で、官房副長官として危機管理を担当され、国内での調整、アメリカ、在日米軍との関係、あるいは様々な形での総合調整、便宜を計らっていただいた私にとっての大恩人でありますから、それ以来の安倍総理との何十回にわたる様々な会合を通じて加計のカの字も聞いたことはございませんし、私自身も申し上げたことはありません。
 ただ、言及したのは、教育再生実行会議の委員になりまして、このデッドロックに乗り上げている状態を側面射撃が、援護射撃ができないかなと思って、場違いではありましたけれどもその場で、愛媛県が獣医の問題でこんなに岩盤規制に面して困っていると、当時、安倍総理の言葉を使いまして、愛媛県の小さなドリルでは穴が空かないから教育再生実行会議のドリルで穴を空けてもらえないかというような発言をいたしました。
 しかし、そのときには、一回目は場所を言いませんでしたが、二回目は愛媛県で用地を準備してという言葉は言いましたけれども、今治という言葉は触れておりません。まして加計学園のカの字も出しておりませんから、多分私が発言した趣旨は、そのとき総理がいらっしゃったからこの話は少しは気にしてもらえるかなと思ったんですけど、恐縮ですが、余り関心なさそうにお聞きになっておられまして、それから間もなく提案が下ろされ、また、二回目に発言したときにはまた提案は駄目で全く反応がなかったので、今にして思えば、そんなときの友人だったんだ、だったのか、もし御存じだったら少しは反応が違っていたんだろうななんて今想像しているところであります。
 ところで、誘致の問題に関しまして、先ほど総理もちょっと触れられましたが、昨日の予算委員会で申し上げましたように、元々は愛媛県の県会議員が加計学園の事務局長と今治での同級生でございました。その関係で、平成十七年の一月に県会議員が話を持ちかけました、今治への大学誘致、進出を。その後二年間経て、検討の結果、昭和十九年の一月に、獣医学部でつくりましょう、つくりますという構想が出てまいりまして、当時、安倍政権下でございまして、私も安易に考えていましたのは、文部省は私の出身地でもありますし、後輩が少しは私の意向をそんたくして便宜を計らってくれるかなと思って参上いたしましたが、言葉はいんぎん、丁重でありましたけど、中身は、農水省の協力が得られないと難しい、特に権益擁護の、既得権益の強力な団体があってというような話で、ああ、一筋縄ではいかないなと、これはということで悩みに悩みながら模索しておりましたら、ちょうど小泉内閣時代からの構造改革特区があるということを知りまして、そして中四国ブロックでの説明会、これは何回も何回もやっているようですけど、それに愛媛県の担当者と今治市の担当者に聞きに行ってもらって、ひょっとしたらこの構造改革特区で道が開けるかもしれぬという形で、福田内閣の時点で申請をいたしました。
 考えてみますと、このなかなかうまくいかなかった理由は、結局、構造改革特区で、特区の本部長は総理大臣でありますけれども、実務は全部所管省がやりますから、文部科学省が仕切って農林水産省とお互いに、できません、できませんと返事が返ってくるから、とても総理の手の及ばないところで既得権益団体の岩盤に阻まれているんだということを感じながら、しかもそれが十五連敗いたしましたから、大相撲でいえば十五戦全敗だと引退を、こういうふうになるわけでございます。
 正直言いまして、構造改革の特区のときには愛媛県今治市がタイアップしてやりましたけど、愛媛県は十五戦全敗で成績悪しということで引退して親方になりまして、構造改革特区の方は今治市があえて白星を得るべく頑張るという形で特区の申請をして、そして有識者会議の英明なる判断と、内閣府の、あるいは虎の威を借りるようなキツネの発言を用いてでも強行突破していただいたことを私は大変喜んで今日に至っておりますけれども、ただ、様々な今日の情勢で心配していることも幾つもございますが、それは後ほど時間がございましたら私に申し上げる機会を得させていただければ有り難いと思います。
 概略の経緯はかようなところでございます。
青山繁晴君 念のため、さっき昭和十九年とおっしゃったのは平成十九年ですね。はい。
 今、更に補足もなさって、とても御丁寧な説明いただきました。その上で一つだけ付け加えて確認いたしたいことがありまして、それは、岡山理科大学獣医学部のための土地は、今治市に学園都市構想があって、既に用意されながらどこの大学もあるいは大学関連も来なくて空き地になっていた土地、そのことでよろしいですか。
参考人(加戸守行君) このことにつきましては、私の思い入れもございますのは、知事に就任した時点でもう既に何十年か前から今治には学園都市構想を持っておられまして、そして、言うなれば、新都市整備事業として森林を開発して整備してそこに学園都市をつくろうという構想はありましたが、神棚に上がったままで眠っていました。
 私は知事着任早々、この問題を今治市と尻をたたいて一緒にやろうよということで建設省に、旧建設省に参上し、都市整備公団に参上し、やっとの思いで御了解をいただき、ゴーサインをいただきましたから、その年には今治市も土地の買収に掛かりまして、翌年には都市整備公団の現地事務所も設置されて、工事をもう設計から開始いたしました。そして、造成ができて土地はあるんですが、二つの地区がありまして、一つは第一地区が産業地域、商業地域、第二地区が学園都市構想地域でありまして、こちらの方が地元の大学の誘致等々、話がまとまりかかっては潰れというような状況で、全く、整地をされてスタンバイしておりますけれども、来ていただく大学が存在していないという空白地域の状態で、そこを何とかしたいというのがまず出発点でありました。
 と同時並行で、先ほど申し上げましたように、先生も御指摘がありましたような鳥インフルエンザ狂牛病口蹄疫等々との関係で何とか、公務員獣医師が足りない、来てもらえないこの状況、四国の空白地域、また研究機関もないという中で何とかしなければという思いがあったところに、私の指南役でございますけれども、アメリカで獣医学の発祥の地と言われておりますコーネル大学に留学し、その後ジョージタウン大学の客員教授として六年間勤務された方が、アメリカとの往復をしながら私に様々なアメリカの情報を教えていただいて、加戸さん、このままでは日本は立ち遅れると、まさにアメリカは国の政策として、国策として人畜共通感染症の防止、特にアメリカは、まあもちろん当然牛で食べている国ですから畜産業は生命線だということもありましたが、国策として取り組んで獣医学部の増員を図り、新設を認めていくと、こんな歴史の流れの中に、日本は遅れているんだよねとぼやきながら言われたことを覚えておりますし。
 そんな意味で、私は、まさに学園都市としての今治の、若者の活気あふれる町にしたいという今治の願いと、愛媛県が困っている、四国が困っている公務員獣医師、大動物獣医師の確保の問題、それに、国際的な潮流に合わせて、今は小さいかもしれませんけど、これだけ難産だから立派に育つであろう世界に冠たる感染症対策、あるいはライフサイエンス等々、あるいは動物実験を通じた創薬の分野で鍛えられた若者が愛媛のために、四国のために、日本のために、そして世界のために活躍するのだ、今治が誇れる大学と、その三つの願いを込めて、今治市民、愛媛県民の夢と希望の未来を託してチャレンジしてまいりましただけに、この十年の道のり、ある意味では特区申請以来、悲願十年の手前で白紙に戻せだ何だという議論が出ていると、またあと十年待たされるのかなという。
 アメリカより十年以上遅れているんです。二十年も遅らせるようなことは、それは日本国家としての恥だと私は思っております。
青山繁晴君 今総理も、言わば初めての部分も含めてこの経緯をお聞きになったと思うんですけれども、総理として、この当事者の加戸参考人らから明らかにされた経緯については今どのようにお考えでしょうか。
内閣総理大臣安倍晋三君) 加戸前知事がおっしゃったように、まさに昭和四十一年を最後として、その後獣医学部は全く新設されていないわけであります。それから半世紀が経過をして、鳥インフルエンザの問題あるいは口蹄疫の問題、動物から動物、動物から人にうつる伝染病が大きな問題となっています。この問題に対応するために、専門家の養成あるいは公務員獣医師の確保は喫緊の課題であります。それでもですね、それでも新設を認めない、時代の変化に対応できない制度であるのならば、その制度こそがゆがんでいると考えるわけでありまして、時代のニーズに合わせて規制を改革をしていくことは、行政をゆがめるのではなくて、ゆがんだ行政を正していくことであろうと、このように思います。
 岩盤規制改革を全体としてスピード感を持って進めていくことは、これはまさに今も、そして今後も私の総理大臣としての強い意思であります。しかし、当然ですね、当然、今、加戸さんも、一生懸命頑張ってきたけれどもこんな議論になっていることは残念だということをおっしゃっておられました。だからこそ、プロセスは適切、適正でなければならないわけであります。
 国家戦略特区は、民間人が入った諮問会議、そして専門家も交えたワーキンググループでオープンな議論をし、そしてその議事録もちゃんと残していきます。また、文部科学省も始め関係省庁はそこに出ていって主張すべき点は主張できるわけでございます。そしてまた、告示等を出しますが、告示も関係省庁が合意をしながら進めていくというプロセスになっているわけでございます。まさにこの適正なプロセスの上、今回の規制改革も行われたものでございます。
 ただ、まだ多くの国民の皆様に御納得いただいていないのは事実でございますので、事実に我々は基づいて丁寧に説明を続けていきたいと、このように考えております。
青山繁晴君 七月十日の連合審査、閉会中審査につきまして、もう一点だけ加戸参考人のお話をお聞きしたいんですけれども、実は七月十日、加戸参考人が経緯も含めてとても分かりやすくお話しいただいたんですけれども、ほとんど報道されませんでした。ちなみに、僕という国会議員はこの世にいないかのような扱いになっておりましたが、それは、有権者には申し訳ないけれども、はっきり言ってどうでもよいことであります。
 問題は、当事者の前川参考人と並んで一方の当事者の加戸参考人がまるでいなかったがごとくに扱われたということを、加戸参考人としては、前川さんの先輩の文部官僚でいらっしゃり、官房長までなさり、そして愛媛県知事をなさり、本当は、そして僕、加戸さんとも打合せしていませんけれど、例えば、この後、拉致事件のことを総理にもお尋ねしますけれども、愛媛県知事時代に初めて愛媛県として拉致事件の取組を強化されて、それに感謝している特定失踪者の方々、実はたくさんいらっしゃるんです。たくさんお声をいただきました。
 そのように今までできなかったことを打ち破ろうとする政治をなさってきた、行政と政治をなさってきた加戸参考人におかれては、今回のこのメディアの様子を含めて、社会の様子、今どのようにお考えでしょうか。どうぞ御自由にお話しください。
参考人(加戸守行君) 私も霞が関で三十数年生活してまいりまして、私の知る限り、今までメディア批判をして勝った官僚、政治家は誰一人いないだろうと思っておりますし、ここで何を申し上げても詮ないことかなとは感じますが、ただ、今回七月十日の証人喚問の後、私はその晩、イタリア旅行に出かけまして、日本のことは知りませんでした。十日間旅行して帰ってきましたら、いや、日本では報道しない自由というのが騒がれているよと。何ですかと聞いたら、何か一覧表を見せられまして、加戸参考人の発言を紹介した、丸、三角、バツで新聞、メディア、テレビ等の勤務評定がありまして、ああ、そうなのかなというのを見たとき、私、役人時代から慣れっこでございますから当然そうだろうなと思いながら、ただ、報道しない自由があるということに関しても有力な手段、印象操作も有力な手段、で、そのことはマスコミ自体が謙虚に受け止めていただくしかないことでございますけれども、このことに関してあえて申し上げなければならないことが一つあります。
 それは、今、実はあるテレビ局の報道で、報道された中身に関して、そのこと自体を私はどうこう言うわけじゃありませんが、その取材に応じられた前川参考人の発言で、報道のときにはカットされた部分があります。このことについて、やはりこの場でおいて、安倍総理がこんなに窮地に立っているときに、このことはやっぱり私のこれは披露しなければ気が済まないから申し上げさせていただきます、ちょっと時間取って恐縮ですけれども。
 私が松山にいるときに、東京のテレビ局のキーステーションの系列局から話がありました。それは、私の知事時代の県政担当記者から、東京のキー局が取材をしたいと、急いでいるけどという実は連絡があったときに、私は東京へ用事があって上京する、松山へテレビカメラを担いで取材に来る時間ないでしょうと、東京に着いたら、東京でその夜なら時間が取れますよと言ったら、テレビ局がカメラ二台、記者二名、そして私のあばら家に来ていただいて、立会人は私の妻一人でありますけれども、その場で、何でカメラが二台かと思ったら、一台は前川参考人の取材したビデオ取材の記事を映像で私に見せながら、このことに関して加戸さんに取材をしたいんだということでございました。
 言うなれば、教育再生実行会議に安倍総理に頼まれて私がこの加計問題をため込むという構図になっているわけでありまして、で、私が笑い飛ばした部分はカットされましたから多くの国民には分かりませんけれども、獣医学部新設の疑惑追及か何かというタイトルの番組だったようでありますけど、その後、翌日のホームページに載っていまして、そこのホームページには画面に私の画像とテロップが流れ、その下に御丁寧に教育再生実行会議の議事録のコピーまで載っていますから、よく見ていただくと分かるんですけれども。
 まず、加戸さんは安倍総理と加計、友人関係御存じでしたか、そんなことは全く知りませんでしたよという話から始まって、それから、教育再生実行会議の委員にはどうしてなられたんですかと。それは、前川参考人が、加戸委員は安倍総理が直接頼まれたんですよねと。で、記者の方が、えっ、何で御存じなんですか。いや、私が教育再生実行会議の委員の人選に関与していましたから知っておりますと。
 そして、その次、カットされた。そのことから、私に対するインタビューは、何でお受けになったんですかと言うから、安倍総理から、教育の再生は安倍内閣の重要事項として取り組みたいから加戸さんの力を借りたいというお話でしたので喜んでお受けしましたと。その後がカットされた部分ですが、前川参考人が、あれはですね、安倍総理が加戸さんに加計学園獣医学部の設置を教育再生実行会議の場で発言してもらうために頼まれたんですよと。記者が、えっ、そうなんですかと。だって、その後、教育再生実行会議で、私も出席しておりましたが、唐突に発言をされました、この加計学園の、それから、しかも二回にわたってとありました。で、このことどうですかと言うから、私は高笑いしましたよ、そんなことあるわけないじゃないですかと。
 そして、その部分はカットされたのは、恐らく、私は考えました、後で。このまま報道すれば恐らく安倍総理から名誉毀損の訴えを提起されるおそれなしとしない。加戸先輩はそれは踏み付けられてもいいけれども、そこまで想像をたくましくして物を言われる方なのかな。でも、このことに関しては、総理補佐官御発言メモが残っているわけでもあるまいし、何でそんなことをおっしゃるのか。安倍総理をたたくためにそこまで、全国に流れるテレビの画面の取材に応じて、私の取材がもしできていなければあのまま生で流れているかもしれないということを考えたときに、私は自分の後輩ながら精神構造を疑いました。
 私は彼を買っています。それは、私が愛媛県知事のときに、小泉内閣三位一体改革の名の下に義務教育国庫負担金制度の廃止を打ち出して大もめにもめて、玉を丸投げして全国知事会で結論を出してくれときたときに、数少ない有志が語らって徹底抗戦しました。十数人が反対しましたけれども、全国知事会の評決では三分の二の多数決ですから、三分の二の多数決でこの理不尽な廃止制度が議会、全国知事会で認められました。そのときに、当時文部省の初等中等教育局の課長として前川参考人は、奇兵隊、前へというブログの中で徹底してこれを批判し、あえて職を賭してまでこの義務教育国庫負担廃止に論陣を張ってもらいました。気骨のあるすばらしい人材で、嘱望しておりました。彼が事務次官になったときには、私、一番うれしかったです。本当に文部省を代表し、気骨を持ってチャレンジするすばらしい次官が誕生したなと思いました。
 その彼が何で虚構の話を全国テレビで話すんだろうと。これはテレビ局が放送をカットしてくれたから彼は救われましたけれども、でも、その後の発言の様子を見ていると、私はそう思います、想像します。想像が全部事実であるかのごとく発言されていると。同じ伝で言われているんじゃないだろうなと。でも、そのことが国民をそういう方向へ持っていくことになるんじゃないのかという危惧を持ちながら、あえてこの場で私は報道の批判をしません。良識を持ってその場面場面をカットしたテレビ局の見識には感謝しています。でも、そのリスクを冒してまで言わなければならない、作り話をしなければならない彼の心情が私には理解できないんで、でき得べくんば青山委員から御質問いただければと思います。
青山繁晴君 あっという間に時間がなくなってきてしまったんですけれども、やっぱりフェアネスのために、予定外ですけど、前川参考人、お話しになることがあれば、済みませんが、時間が足りないんで、できれば手短に。お任せします。
参考人前川喜平君) いや、これは誤解だと思います。
 私は、メディアの取材に対しまして、加戸委員が教育再生実行会議の委員になられたことにつきましては、これはもう総理直々のお声掛かりであったと、特にこの人にしたいという御指名があったと、こういう経緯は確かに話したことはございます。
 それから、教育再生実行会議の席上ですね、愛媛県今治市獣医学部をつくりたいと、こういう御発言が二度にわたり、私は自分で陪席しておりましたので聞いたわけですけれども、そういう発言があったと、この事実も伝えたことはございます、これは議事録に残っているわけでございますけれども。
 しかし、それを、総理に頼まれてその発言をしたんだというようなことは、私、言った覚えはございません。それは恐らく、私は、まさか加戸先輩が事実を捏造するとは思いませんので、誤解があると思います。その点はちょっと、メディアもそれを公開してくれるかどうかは分かりませんけれども、チェックすれば分かることだろうと思っております。
 加戸前知事が本当に熱意を持って獣医学部加計学園獣医学部の誘致に努められて、その念願がかなったということは本当に御同慶の至りだというふうに思っておるわけでございますけれども、しかし、いわゆる加計疑惑と言われるものは、やはり加計ありきで、国家戦略特区という仕組みがそのために曲がった形で使われたんではないかと、様々な条件を付すことによって結果的にこの結論ありきのところに持っていったと、そういうふうなところに問題があるわけでありまして、そこのところをきちんと解明するということが大事であって、加計学園ありきであったことはもう間違いないわけですけれども、愛媛県今治市が一生懸命やっておられたと、これは事実として認めなければならないと思っております。
青山繁晴君 今、前川参考人は、加計ありきだったことは間違いないとまたおっしゃっていて、ずっとそうではないということを僕の質疑で明らかにしているわけです。
 その上で、メディアの問題も指摘しましたけれども、政府にも大きな問題点が間違いなくありました。こうした経緯であることを正面から、こうしたというのはさっき短く申した経緯であることを正面から説明せず、しかも経緯の中で現れる文書は、最初は見付からなかったと言い、後で見付かったと言い、普通の国からしたら当然隠蔽やごまかしがあるのではないかと、むしろ正当に疑わせたことに大きな問題があります。
 なぜそのようなことが起きたのか、どう改善なさるのか、まず文科大臣にお聞きします。
国務大臣松野博一君) お答えをいたします。
 文部科学省は、民進党等から提示をされました文書について調査を行いました。当該文書の存在は確認をできなかったという調査結果を五月に発表をいたしました。その時点においては、この調査方法に関して一定の合理的な調査であったと考えておりましたけれども、しかしながら、追加調査を行うべしという国民の声を真摯に受け止めまして更にファイルを、対象のファイルを広げ、またヒアリング対象を広げた結果、前回確認できなかった文書の存在が明らかになったということが事実関係でございますが、この経緯に関しましてはもう大変申し訳なく思っておりますし、私としても真摯に受け止めているところでございます。
 これらのことを受けて、今後、文書の作成、管理の在り方の改善、職員の意識改革等に取り組んでまいりたいと考えております。
青山繁晴君 今、文科大臣も反省を込めておっしゃった経緯と改善策について、総理はどのようにお考えでしょうか。
内閣総理大臣安倍晋三君) ただいま文部科学大臣からも答弁をさせていただいたところでありますが、内部文書をめぐる調査について国民の皆様の政府への不信を招いたことは率直に認めなければならないと思います。
 その上で、それらの文書の記載をめぐり国民の皆様から大きな疑念を、国民の皆様から大きな疑念を抱かれた、この原因を冷静に分析をしてみますと、内閣府文部科学省の間で様々な省庁間の調整が行われたわけでありますが、これは直接行われておりまして、第三者が加わっておりません。当事者の間だけで言った言わないの水掛け論になっているわけであります。こうした省庁間の直接のプロセス、調整プロセスが透明性に欠け、国民的な疑念を招く大きな要因であったと考えております。
 国家戦略特区制度の運営は、もとより政府だけでなくこの第三者である民間議員が加わった諮問会議やワーキンググループで議事も全て公開するオープンな形で議論を行っております。そういう仕組みでありまして、民間議員が入る諮問会議、そしてまた、民間の専門家によって、これも交えて、民間人によって構成されるワーキンググループ等において議事録を残してオープンに議論をしているという透明性の高い仕組みになっており、これが岩盤規制改革の大きな原動力となっておりますが、省庁間の細かい点の調整も含め、更なる透明性の向上に向けて運用強化を検討していきたいと思います。
青山繁晴君 さて、これは参議院の継続調査でありまして、通常国会でも実は議論が少なかった大事なこと、本来は朝鮮半島の非常な緊張をめぐって例えば一番大事なことの一つは、拉致被害者をどのように、もしも有事その他の緊張が高まった場合にどのように救出するかと、あるいはこのまままさか四十年、五十年、拉致されたままの人々をほっておくわけにいかないはずですということを、通常国会予算委員会で不肖私はこのように聞きました。
 自衛官を中心に、警察官、海上保安官消防官、医師、看護師、保健師、そして北朝鮮の方言も使える朝鮮語の専門家らで編成する包括的な救出部隊をつくって訓練すべきだと質問いたしまして、防衛省の若宮副大臣から、自衛隊はまずは訓練開始していますという非常に有益な答弁もいただきました。
 しかしながら、現在、当事者の一人でいらっしゃる稲田防衛大臣におかれては、今、南スーダンへのPKO部隊派遣をめぐるいわゆる日報問題で忙殺されている感があります。
 しかし、日報は、問題になっている日報というものは、二月六日から七日にかけて統合幕僚監部、いわゆる統幕から既に発表されています。なぜならば、ここが一番肝腎なところですけれども、南スーダンに行っていたのは陸上自衛隊の部隊ですが、指揮は統幕が行っています。それは、PKO部隊については統幕がそうするんです。このことに対する理解が、実は残念ながら国会でも十分だとは僕は思いません。メディアにおいても不十分です。
 したがって、既にこの指揮をしている統幕が発表済みであるにもかかわらず、問題にされている会議はこれ二月十五日ですから、もう一回言います、二月六日と七日の両日をかけて統幕が発表していますので、そこで、その会議で同じ日報が陸幕から出ても、実はそれ、本当は公表するしないの問題では僕はないと思います。これをどうして稲田大臣は説明なさらずに、稲田大臣にもその意味では僕は責任の一端はあると思います、大臣として。
 本来の職務よりもこういうことが中心になってしまうということを含めてどのようにお考えでしょうか。
国務大臣稲田朋美君) この南スーダン派遣部隊の現地で作っている日報に関しては、私はもう当初からこの日報については公開すべしという立場を一貫して取ってまいりました。
 昨日も総理も御答弁になりましたように、七月の衝突時のあの日報について、戦闘という表現も含めてしっかりと公表すべしという立場を取っておりました。
 昨年の秋に開示請求があったこの日報について、十二月に不開示、用済み後破棄、不開示という報告を受けましたときに、私は、どこかに探せば日報はあるんじゃないの、しっかりと探して公表するようにという指示をいたしました。そして、今委員が御指摘のように、統幕から日報が見付かって、二月六日に開示請求されているものの日報の公表、そして十三日には不開示決定をしたものを取り消して開示決定をしたわけであります。
 私は、一貫してこの日報については開示すべきであるという、そういう一貫した立場を貫いておりましたし、しかしながら、どうして不開示になったのか、さらには、国会で、私に対する報告が遅れていたということについて、また再発防止策について、省内で次官に対して、しっかりとした事実解明と、さらには再発防止策をまとめるように指示をしていたところでございます。その後になって報道で、陸自の日報を破棄をさせたというような報道があって、特別防衛監察に切り替わったわけでありますけれども、私の政治スタンスは一貫して公表すべしということであり、仮にその日報が存在するということであれば公表すべし、それを隠蔽やまた非公表にするというような指示をするということはあり得ないということでございます。
青山繁晴君 時間も迫ってまいりますので、本来のことを、拉致事件に関してお聞きしたいんです。
 先ほど申しました拉致被害者救出のための包括的な部隊、さきに私が質問いたしましたときは総理は御出席でありませんでした。そういう予算委員会でありました。
 今お聞きになって、この編成と訓練、訓練を北朝鮮にもアメリカにも見せるという意味で、政府全体で、今申しましたとおり、自衛官だけじゃなくてお医者様たちも含めてのことですから、政府全体の取組としてどうお考えでしょうか、総理。
内閣総理大臣安倍晋三君) 海外でこの拉致被害者も含めまして邦人が危険にさらされたときに、その保護、救出に全力で当たることは国としての当然の責務であります。
   〔委員長退席、理事二之湯智君着席〕
 政府としては、朝鮮半島において在留邦人の保護や退避が必要となった場合など、平素から様々な状況を想定して必要な準備、検討を行っています。また、平和安全法制により在外邦人の救出も可能となるなど、邦人保護の強化を図っているところであります。あらゆる事態において拉致被害者の安全を確保することは極めて重要であり、半島有事の際は同盟国たる米国との協力が特に重要と言ってもいいと思います。
 いずれにせよ、委員御指摘のとおり拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要でありまして、今後とも、拉致被害者の救出のために何ができるかという点について、関係省庁が一体となって不断の、不断の検討を継続してまいりたいと、このように思います。
 また、今、青山委員から訓練等を公開すべきとの御意見がございました。この訓練を公開することによって国はしっかりと対応できるんだよということを示して、国民の皆様に安心感を与えようという御主張だと思います。その御主張はよく理解できるわけでありますが、他方、事柄の性質上、政府による検討内容の詳細を明らかにすることは邦人の安全確保に重大な影響を及ぼし得ることから、政府としては、言わばどのように手順でやるということについては、公開することについては適切ではないと考えております。
 いずれにせよ、拉致被害者の方々の安全確保は極めて重要でありまして、あらゆる事態において拉致被害者の安全確保を図るべく全力を尽くしてまいります。
青山繁晴君 総理は、拉致事件の解決を内閣の最重要課題と終始一貫位置付けておられます。朝鮮半島危機、報道などで報道ぶりが減ったりすると、つい何か事態は改善しているかのような誤解を国民にも与えますけれども、実際は悪化するばかりです。その悪化する半島情勢というのは、逆に言えば、まさかチャンスではありませんけれども、あえて英語で申せばオケージョン、最初で最後の契機になるかもしれない、拉致被害者を最後の一人まで取り返すために。
 そのために総理にお答えいただきたいのは、拉致事件の解決に向けて外務省は、長年、本当にすり減らして努力してこられました。しかし、外務省が中心となる限り相手の北朝鮮も外交部です。北朝鮮の実態からいって外交部は拉致事件について実は把握もできないと思われます。工作機関やあるいは軍の一部が行った拉致事件について北朝鮮の外交部と幾ら日本の外務省が頑張って交渉しても、相手に当事者能力はありません。
 したがって、不肖私の長年の提案として従前から申し上げておりますけど、拉致問題対策本部をこの際改組して、今も本部長は総理でいらっしゃいますが、より強力な総理直轄の組織として官邸内に置き、拉致問題担当大臣は、実は国民に意外に知られていないんですけれども、御家族の担当でいらっしゃいます。
   〔理事二之湯智君退席、委員長着席〕
 しかし、外務省に交渉を任せるんじゃなくて、当然政治家がやるべきですから、拉致問題担当大臣をまさしく交渉の担当役として、そうすると北朝鮮もそれなりの人物が出てくることはあり得ますから、別途御家族については担当大臣を新設して、交渉は常に政治家が行う。これは総理に訪朝してくださいという意味ではありません。そうすると相手の術中にはまることもあり得ますけれども、でも、まずは政治家が交渉を担うという体制を再構築いただけないでしょうか。
 総理、お願いします。
内閣総理大臣安倍晋三君) この拉致問題の解決においては、まさに私が総理大臣として大きな責任を持っております。言わば、まさにこれも私たちが国民の代表として、政治家として取り組み、解決をしなければならないのは当然のことであります。そして、拉致問題について、御指摘のとおり北朝鮮との対外交渉を専任で担当する大臣が必要というお考えがあることは私も承知をしておりますが、そのような問題意識を踏まえつつ、第二次安倍内閣の発足に伴い拉致担当の国務大臣を指定するとともに、私を本部長として全ての国務大臣を構成員とする拉致問題対策本部を新たに立ち上げ、オールジャパンの体制で取り組んでおります。
 拉致問題安倍内閣の最重要課題であり、被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで私の使命は終わらない、こう決意をしております。引き続き私が先頭に立って拉致問題の解決のために全力を尽くしてまいる決意でございます。
青山繁晴君 今日は冒頭に、大雨の被災者の方々がこの審議に本当は何を期待されるかということにも触れました。正直申しまして、私はまだ一年生議員でありまして、予算委員として一年間この場におりましたけれども、さきの通常国会も、衆議院では閉会中審査、参議院の用語だと継続調査、その中で、森友学園事件、加計学園の件で時間と国民の税金がどんどん費やされる中で、例えば日本の安全保障の根幹が揺らいでいると言わざるを得ません。
 例えば、北海道では水資源を狙ってのことなのか分かりませんが、でも水資源が多いところによく見られるのが中国による大規模な土地取得であります。それから、尖閣諸島では依然として領土問題は存在していません。日本の領土ですけれども。まるで中国が支配しているがごとくに連日、中国の武装した海警局の船が入って、これ、私のルートで中国側と議論しますと、我々はパトロールしているんだと、パトロールしているところに、けしからぬことに、日本の漁民と日本の武装した海上保安庁の巡視船が入ってくるというのはけしからぬ話だという反応なんです。しかも、これを英文で海外に発信しています、世界に発信しています。
 こういうことを考えますと、違う二つのことを申したようですけど根幹は同じで、何をかまけて日本の安全保障をおざなりにしているのかということを国民の方々が憂えていらっしゃると思います。
 したがって、お答えにくくても是非お答えいただきたい。まずは、石井国交大臣におかれては、先ほどの土地の問題について何らかの規制、直ちに導入すべきではないでしょうか。
国務大臣石井啓一君) 我が国の安全保障上重要な国境離島やあるいは防衛施設周辺等における外国人や外国資本による土地の取得に関しましては、国家安全保障に関わる重要な問題であると認識をしております。
 ただ、土地の売買に関する現行の規制につきましては、個人の財産権を尊重する観点から取引の安全や土地利用の適正化等を目的とした制度となっておりまして、買主が外国資本等であることのみをもって規制することにはなってはございません。
 委員御指摘の水源、特に地下水の水源の保全という観点からは、外国人に限らず、誰が土地を取得いたしましても、その土地が持つ水源涵養等の機能が十分に保全されることが重要であります。
 地下水の保全と活用につきましては、これまで地域の実情に応じまして地方公共団体が主体的に条例等による取組を進めております。現時点で少なくとも既に四十都道府県、五百四の市区町村において地下水の保全に関する条例が制定され、それぞれの地域の固有のルールの下で適正な地下水の利用がなされているものと承知をしております。
 平成二十六年に制定されました水循環基本法に基づく水循環基本計画におきましては、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策といたしまして、持続可能な地下水の保全と利用を推進するため、地下水マネジメントに取り組むことが位置付けられております。
 これを受けまして、計画は、これは自治体が計画を策定するわけですが、その計画作成のためのマニュアル作成や必要性の高い地域における計画策定を国土交通省といたしまして支援をしてまいりたいと考えております。
青山繁晴君 自治体の取組はよく理解しておりますけれども、もう一度申します。時間がありませんけれども、国の取組が更に必要だと思います。外国人だからといって規制の対象にするというのは、もちろん国際法上も全く間違いです。そうではなくて、国土保全ということを国家の戦略としてきちんと立てていただきたいと思います。
 最後に、先ほど申しました尖閣諸島での実態について、様々本当は課題ありますけど、一点だけ、最後に一点だけ。石垣島の漁家の方々が安全に操業できる体制を海上保安庁によってつくるべきではないでしょうか。プロパーの保安監出身であります、安倍内閣でそれが実現した海上保安庁長官、是非お答えをお願いします。
○政府参考人(中島敏君) お答えいたします。
 海上保安庁は、尖閣諸島周辺海域の中国公船に対して領海に侵入しないよう警告するとともに、領海に侵入した場合には退去要求、進路規制を行い、領海外へ退去させているところであります。これらの措置を尽くしてもなお領海に侵入した中国公船が日本の漁船に接近し、安全を脅かす……
○委員長(山本一太君) 時間ですので、短くおまとめください。
○政府参考人(中島敏君) あるいは操業を妨害するなど不測の事態が懸念される場合には、日本漁船を保護する対応を取っております。
 引き続き、関係省庁と緊密に連携し、尖閣諸島周辺海域で操業する日本漁船の安全確保に万全を期したいと思います。
○委員長(山本一太君) 時間です。
青山繁晴君 ありがとうございました。終わります。
○委員長(山本一太君) 以上で青山繁晴君の質疑は終了いたしました。(拍手)