自衛隊法の改正 (3) -武器等の防護-

これまで自衛隊は自分の武器等について防護を行うために武器の使用ができることになっていた。しかしあくまでも自己保存のための武器使用であって正当防衛でない限りは相手を攻撃できないことになっている。今回の安保法制においてはその武器防護の延長上に他国の軍隊の武器等も防護できるという規定が設けられる。しかし武力行使が制限されているために防護というには矛盾した状況が発生しうる。武器等には船舶も含まれるので戦闘の行われていない地域であれば米艦を自衛隊護衛艦が警護することは今回の法制で認められることになる。(米艦が単独行動していて自衛隊が防護しないといけない状況自体が有り得ないという批判もあるが、それを別にして。)しかしもしその米艦に第三国の潜水艦から攻撃があっても自衛隊はそれに反撃はできない。反撃をすれば「武力行使の一体化」となってしまう。もし米艦と第三国で戦闘が始まれば、戦闘が行われている地域では自衛隊は活動ができず退避をしないといけない。このような状況でそもそも米艦を防護していると言えるのか、わざと戦闘に巻き込まれて正当防衛を口実にして既成事実を作るためではないのかと勘ぐるしかない法律である。

自衛隊武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条  自衛官は、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備又は液体燃料(以下「武器等」という。)を職務上警護するに当たり、人又は武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
 
(合衆国軍隊等の部隊の武器等の防護のための武器の使用)
第九十五条の二 自衛官は、アメリカ合衆国の軍隊その他の外国の軍隊その他これに類する組織(次項において「合衆国軍隊等」という。)の部隊であつて自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含み、現に戦闘行為が行われている現場で行われるものを除く。)に現に従事しているものの武器等を職務上警護するに当たり、人又は武器等を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。
2 前項の警護は、合衆国軍隊等から要請があつた場合であつて、防衛大臣が必要と認めるときに限り、自衛官が行うものとする。
 
自衛隊の施設の警護のための武器の使用)
第九十五条の 自衛官は、本邦内にある自衛隊の施設であつて、自衛隊武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料武器等を保管し、収容し若しくは整備するための施設設備、営舎又は港湾若しくは飛行場に係る施設設備が所在するものを職務上警護するに当たり、当該職務を遂行するため又は自己若しくは他人を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、当該施設内において、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。ただし、刑法第三十六条 又は第三十七条 に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。