事態対処法

同じく既存の法律である「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)」を「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」として改正を行う。ここで国会だけでなく一部で国際的な問題となっている「存立危機事態」が定義されている。上の重要影響事態安全確保法と合わせると「存立危機事態」「重要影響事態」「武力攻撃予測事態」「武力攻撃事態」と四つの状況が定義されて非常に分かりにくい。特に「存立危機事態」は日本の国土へ武力攻撃の虞が無い状態で「我が国の存立が脅かされ」るということで定義が曖昧であるという批判が強い。

(目的)
第一条 この法律は、武力攻撃事態等(武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態をいう。以下同じ。)及び存立危機事態への対処について、基本理念、国、地方公共団体等の責務、国民の協力その他の基本となる事項を定めることにより、武力攻撃事態等及び存立危機事態への対処のための態勢を整備し、併せて武力攻撃事態等への対処に関して必要となる法制の整備に関する事項を定め、もって我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。

(定義)
第二条 この法律に(第一号に掲げる用語にあっては、第四号及び第八号ハ(1)を除く。)おいて、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 武力攻撃 我が国に対する外部からの武力攻撃をいう。
 二 武力攻撃事態 武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいう。
 三 武力攻撃予測事態 武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう。
 四 存立危機事態 我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態をいう。
  指定行政機関 次に掲げる機関で政令で定めるものをいう。(略)
  指定地方行政機関 (略)
  指定公共機関 (略)
  対処措置 第九条第一項の対処基本方針が定められてから廃止されるまでの間に、指定行政機関、地方公共団体又は指定公共機関が法律の規定に基づいて実施する次に掲げる措置をいう。
  イ 武力攻撃事態等を終結させるためにその推移に応じて実施する次に掲げる措置
  (1) 武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動
  (2) (1)に掲げる自衛隊の行動及びアメリカ合衆国アメリカ合衆国の軍隊が実施する日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(以下「日米安保条約」という。)に従って武力攻撃を排除するために必要な行動及びその他の外国の軍隊が実施する自衛隊と協力して武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置
  (3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、外交上の措置その他の措置
  ロ 武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護するため、又は武力攻撃が国民生活及び国民経済に影響を及ぼす場合において当該影響が最小となるようにするために武力攻撃事態等の推移に応じて実施する次に掲げる措置
  (1) 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、施設及び設備の応急の復旧その他の措置
  (2) 生活関連物資等の価格安定、配分その他の措置
  ハ 存立危機事態を終結させるためにその推移に応じて実施する次に掲げる措置
  (1)我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるもの(以下「存立危機武力攻撃」という。)を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動
  (2) (1)に掲げる自衛隊の行動及び外国の軍隊が実施する自衛隊と協力して存立危機武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置
  (3) (1)及び(2)に掲げるもののほか、外交上の措置その他の措置
  ニ 存立危機武力攻撃による深刻かつ重大な影響から国民の生命、身体及び財産を保護するため、又は存立危機武力攻撃が国民生活及び国民経済に影響を及ぼす場合において当該影響が最小となるようにするために存立危機事態の推移に応じて実施する公共的な施設の保安の確保、生活関連物資等の安定供給その他の措置